コンピューターは原始時代 2010 2 21

書名 石頭なコンピュータの眼を鍛える
著者 佐藤 真一  齋藤 淳  丸善ライブラリー

 「コンピューターは原始時代」と書いたので、
多くの人は、「そんな、ばかな」と思ったでしょう。
 確かに、計算機としては、パソコンですら、
一昔前のスーパーコンピューター並みの性能です。
 しかし、画像理解は、依然として、
原始時代レベルと言った方がよいでしょう。
 「いや、今のパソコンは、フォトレタッチ・ソフトで、
デジカメで取った写真を上手に加工してくれる」と反論するかもしれません。
 しかし、それは、画像処理のことで、
ここで言いたいのは、画像理解のことです。
 実は、コンピューターは、「画像理解」が苦手です。
わかりやすく言えば、コンピューターは、画像や映像の中に、
何が写っているか解析するのが、苦手です。
 人間ならば、一枚の写真の中に、何が写っているか判断するのは簡単でしょう。
たとえば、「りんご」、「チョコレート」、「テーブル」など、即座に認識するでしょう。
 しかし、こういう作業は、コンピューターにとっては、非常に困難な作業です。
コンピューターが、「りんご」を認識するのは、
形も色も、だいたい揃っていますので、比較的簡単かもしれません。
 ただし、「チョコレート」となると、難しいでしょう。
なにしろ、「チョコレート」は、形は、大きいものから小さいものまで、
四角形のものから丸いものまで、色は、茶色からクリーム色まで、
考えれば、いくらでもあります。
 子供ならば、大好きなチョコレートだから、
たとえ形や色が違っていても、即座に認識するでしょうが、
コンピューターは応用が利きませんので、大変だと思います。
 さて、こういう画像理解の分野でも、研究の成果として、
デジタルカメラの顔認識機能が一般的となりました。
最近では、笑顔を認識してシャッターを切る機能も実用化されているでしょう。
 コンピューターに画像を理解させる研究は、
人間が、大脳の中で、
画像をどう処理して理解しているのかという研究にも似ていると思います。
 こうした分野の研究は、アメリカが先行していますが、
日本は、少ない予算の割には、健闘していると言えます。
 「画像理解」という分野も、いずれ巨大産業(ソフトウェア特許)となるかもしれませんが、
さすがに、アメリカは、未来への投資という点で、抜かりなく先行していると思います。
 日本の政治家や官僚は、未来が見えませんから(特に科学技術が弱い)、
未来の国際競争力は低下していくかもしれません。













































トップページへ戻る